風神雷神がシンボルにされることも多い京都最古の禅寺の建仁寺。この周辺には日本三大三門の一つがある知恩院、多くの神社が祀られ京都らしさを感じさせる八坂神社、京都の町並みをのぞける清水の舞台がある清水寺など、観光地が盛りだくさんでどこに行こうか迷う方も多いでしょう。
「建仁寺には風神雷神以外にも見どころはあるか知りたい」
「観光客が多そう…境内の雰囲気を知りたい」
この記事はそんな方のために建仁寺の雰囲気やあまり知られていない見どころを紹介いたします。
京都最古の禅寺 建仁寺で心静かに自分と向き合う
今回私が建仁寺を訪れたのは9月の始め。ちょうど夏の暑さが引き少し過ごしやすくなってきた頃です。
建仁寺があるのは人通りが多い四条通りからそれほど遠くない場所。最寄り駅の京阪電車「祇園四条駅」から建仁寺へは徒歩7分くらいです。
建仁寺付近のアクセスマップはこちら。
今回私は東山駅からのアクセスを選択。20分くらいで建仁寺へ到着しました。時間があれば東山駅から青蓮院、知恩院、八坂神社と行って最後に建仁寺へ行くルートもいいかと思います。
ほんとにこの周辺は観光地がたくさん。そして人もたくさんいます。
到着したのは北門。すぐには境内に入らずちょっと周りを散策。すると建仁寺の駐車場を発見。料金は昼間なら30分200円。本坊拝観した方は、60分間無料になります。
今回建仁寺の拝観にかかった時間は塔頭の摩利支天堂を含めて2時間でした。ゆっくり写真を撮りながらまわったので、歩いてさっと見るなら1時間以内に見てまわれるかもしれません。
北門の入り口には大双龍図の案内板がありました。これは開山800年を記念して小泉淳作画伯によって法堂の天井に描かれたものです。
また建仁寺の拝観時間は10時からとなっていますので注意です。もし早く到着してしまった場合、近くにある安井金毘羅宮によるのがいいでしょう。こちらは拝観自体は終日可能となっています。
さて北門から境内へ入ると阿羅尼鐘の向こうに法堂が頭をのぞかせています。昼前でしたが、人は結構まばらな感じです。
少し進むと双龍頭と雲龍の案内があるので、まずはそれに従って本坊へと足を運ぶことにします。受付で写真撮影は自由ということを確認し、先に近くにある売り場にて御朱印帳を預けておきます。
売り場の反対にある部屋ではさっそく俵屋宗達の最高傑作と言われる国宝の「風神雷神図」が見られます。通常は高精細デジタル複製が展示されているとのことです。
方丈には繊細でとても美しい襖絵の数々が見られます。まず最初に見られるのは海北友松により描かれた「花鳥図襖」。大きく描かれた孔雀は大胆な筆使いでありながら、華麗さを感じさせ美しいの一言です。
建仁寺で海北友松によって描かれたもので一番感銘を受けるのは「雲龍図」でしょう。限られた襖という枠の中で、力強く大迫力に描かれた龍と繊細に描かれた雲という対比がまた素晴らしいものです。雲の間から左の静かに睨みをきかせる龍、右の龍は咆哮とともに現れる様子がそれぞれ描かれています。海北友松によって描かれたものでも随一の作品と表されることも多いそうです。
この他にも海北友松によって描かれた襖絵は「竹林七賢図」、「琴棋書画図」、「山水図」があり、どれも海北友松の画力を感じさせ腰をおろししっかりと目に焼き付けたくなるような魅力的な作品ばかりです。次は、双龍図がある法堂へと向かいます。
ここ法堂の天井に描かれた双龍図は建仁寺創建800年を記念し、2002年に小泉淳作氏によって描かれたもの。実は結構最近描かれたものなんです。しかもその双龍はなかなかお目にかかれない阿吽の龍。法堂の天井に余すことなく描かれた小泉画伯の厳かかつ独特の世界観を持つ双龍は、日頃の悩みを考えさせないほど魅力的で時間が経つのを忘れて見てしまうほどです。
ちなみに龍は「水を司る神」であり、建物を火災から守るという禅宗寺院でよく見られる習わしがあります。
建仁寺ならではの個性的な庭を楽しむ
方丈の縁側から白砂、苔、岩が配置された枯山水の庭「大雄苑」を味わえます。波打つ白砂はまるで、そこに波があるかのようにいつまでもそこにいたくなるような風情を醸し出しています。
ゆっくりと美しい庭園を眺めながら自分自身と向き合ってみると新しい気づきがあるかもしれません。
大雄苑で思う存分時間を過ごしたら、庭を横目に進んでいきます。進んでいくと豊臣秀吉ゆかりの茶室「東陽坊」へと向かう階段があります。階段からはサンダルを履いて進みます。傘が用意してあるので、雨の日でも安心して見てまわることができます。
東陽坊へと進む途中には、建仁寺方丈の襖絵「唐子遊戯図」や塔頭 霊洞院の襖絵「雲龍図」を描いた田村月樵の三尺にも及ぶ大硯や秀吉直臣の大名であった安国寺恵瓊の首塚などが置かれています。
そして、東陽坊に到着。割と現代の建物に近い感じを受けます。内部は2畳台目の茶席となっており、茶室の中でも模範的な形と言われています。二畳台目とは「畳二畳」と通常の畳の長さの4分の3の「台目畳一畳」で構成された茶席のことを言います。
ここで見どころとなるのは東陽坊だけではありません。その茶室の西側に建仁寺名物である「建仁寺垣」が見られます。話を聞くところによると一メートル七万円ぐらいするということ。めっちゃ高価な代物です。
また東陽坊近くにある清涼軒では抹茶をいただけるお茶席が用意されています。
方丈へ戻り散策を続けます。方丈へ戻ってすぐ見える大雄苑の裏手にあるこの風景もとても綺麗でした。建物と木の配置が素晴らしく空が広く感じられ、大雄苑とは違った自然の景観を楽しめるところです。
続いて紹介する建仁寺の庭は、この「◯△□之庭」。変わった名前をしていますね。この庭の由来は、禅宗の四大思想(地火水風)を地(□)・水(◯)・火(△)で表現したものと言われております。
単純な配置なので何も知らないとただ庭に木が生えているくらいの感覚で見てしまうくらいの不思議な庭です。私も見逃していて、方丈を出る時にパンフレットを見直して気づきました。こちらはぜひ自身の目で確かめてみてください。
建仁寺方丈の中庭には庭の中央に三尊石が配置された「潮音庭」があります。廻りに生えているのは紅葉ということで、秋の季節には縁側に座りながら紅葉を楽しめそうですね。
この潮音庭の向こう側にも風神雷神図が飾られており見ることができます。こちらの方が人が少なく部屋も広いのでゆっくりと見たい方はこちらで見るのがいいでしょう。
また同じ部屋には「臨済禅師 『喝』」と題された都路 華香 筆の作品がかけられています。「喝」と叫ぶ瞬間を描いたユーモラスかつ動きのある絵になっています。方丈を十分堪能したら、次は外を散策してみましょう。
建仁寺境内には塔頭が多くありますが、その多くは非公開または季節限定での公開となっています。季節限定で公開されるのがわかっているのは霊洞院、両足院、正伝永源院です。開運と勝利のご利益がある摩利支尊天は通年で拝観を行っているので、見にいくのもいいでしょう。摩利支尊天については、また別途記事にて紹介予定です。
塔頭が公開されていないなら、外では法堂・三門・勅使門の三つに、楽大明神が祀られている楽神廟を散歩しながらまわってみましょう。外から見る法堂や三門はやはり迫力があります。一方で建仁寺にある勅使門は柱や扉に矢の痕があることから「矢の根門」や「矢立門」と呼ばれたりしています。
楽神廟は浴室の隣にあり、明星殿と書かれた鳥居の背後に絵馬掛け所があります。お祀りされている楽大明神の本来の名前は虚空蔵菩薩といい、記憶力増進の功徳があるとされて受験合格の菩薩として信仰を集めています。また丑年生まれ・寅年生まれの守り本尊でもあります。
建仁寺拝観を終えて
以上で建仁寺の案内は終わりです。建仁寺の見どころは国宝である風神雷神と認識されている方が多いはずです。確かに知恩院の大迫力の三門や清水の舞台から見る美しい京都の風貌など、わっと驚くような感動は建仁寺にはないかも知れません。わっと驚くような感動が「動」とするなら、建仁寺の魅力は「静」になると思います。国宝である風神雷神の金箔で彩られた美しさもさることながら、建仁寺ならではの個性的な庭、とても精巧に描かれた襖絵などゆっくり時間をかけながら味わうことが建仁寺の楽しみ方ではないかと思います。
いかがでしたか?建仁寺には風神雷神と龍以外にも多くの見どころがあります。人が多い観光地近くでありながら、休日でもそれほど混むことがなく落ち着いて過ごせる場所です。観光で疲れた1日の締めくくりに建仁寺を訪れるというのもいいと思います。また御朱印帳も龍や風神雷神がモチーフのものとなっており、とても映える見た目をしています。これから御朱印集めをしてみようという方はここからスタートしてみるのもいいでしょう。腰をおろし時間が経つのを忘れて落ち着いて過ごせるのが建仁寺の魅力です。四条付近にくる方はぜひ一度足を運んでみてください。
名称 | 建仁寺 |
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住所 | 京都府京都市東山区大和大路四条下る小松町 |
アクセス | 京阪電車「祇園四条駅」より徒歩7分 阪急電車「河原町駅」より徒歩10分 |
拝観時間 | 3月1日〜10月30日 10:00〜16:30(閉門17:00) 11月1日〜2月28日 10:00〜16:00(閉門16:30) |
方丈拝観料 | 一般500円 / 中高生300円 |
公式サイト | http://www.kenninji.jp/ |
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